村上躍 作品展

村上躍さんは陶器の創作を始めてからずっと、ろくろを使わずに、ひたすら自らの手で土を捏ねて、成形するという手捻りの手法にこだわり続けてきました。
村上さんのティーポットは、手捻りならではの手取りの良さや、微妙に残る手跡の柔らかさ、選び抜かれたシャープなラインなど、オブジェのような存在感と美しさがあります。もちろん用途のあるポットですので、茶漉しや注ぎ口の部分には村上さんならではのこだわりがあり、水切れが良く葉詰まりもなく、機能性にも優れています。

素朴な質感や美しさを求める作業と機能性を求める作業は、時として相反するものですが、村上躍さんの作品はそのどちらも兼ね備えているのです。
これは茶碗にも求められることですが、その美しさと機能性のどちらに秤を傾けるのか、また両方とも求め追求するのか、それは作家も使い手もその時々で答えが違うのでしょうが、近年益々その存在感を増し、茶碗とは何かと考えさせてくれる村上さんの碗が楽しみでなりません。

今展では定番のポットやマグカップ、茶碗としてお使いいただける碗など、楽しく取り揃えていただきました。ぜひ寺田美術の空間にてご高覧いただけましたら幸いです。

寺田ひと美

会期
2024年3月16日(土)−3月21日(木)12:00−18:00
*最終日のみ17:00迄
作家在廊:16日

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