羽生さんの作品は、数年乾かした板材の木裏を使って逆目を出し、草木染めで色をつけ、仕上げにウレタン塗料でコーティングをし、変色を防ぐという、とても手間と時間のかかる作業によって作られています。着色は鉄媒染による色の変化なので、木には木目や傷痕、成分の含み方による個体差があり、コントロールが出来ない部分がとても大きいのですが、羽生さんの作業はケミカルな部分と自然に任せる部分が交錯してとても面白く、一見古木を削り出したように見えるその風合いは、羽生さんのこだわりとインスピレーションから生み出されたものです。羽生さんが家具の脚に鉄材を使うのは、木も鉄もいつかは朽ちてしまう同じ自然の素材が持つ相性の良さと、木の脚では出せない繊細さを表現する為です。自然のものを慈しみ、その変化や表情を楽しみつつも、デザイン性の高さと使い易さを両立させている羽生野亜さん。今展では素敵な家具や寺田美術らしい立礼卓をはじめ、素晴らしい作品の数々をご高覧いただけましたら幸いです。

会期:2022年11月12日(土)~11月17日(木)
作家在廊日:11月12日
12時~18時 / 最終日は17:00まで
※状況により入場制限を行う場合があります。

TOP