武蔵野美術大学卒業後、イタリアのファエンツァ国立陶芸美術学校で陶芸を学ばれた高橋奈己さんの作品からは、西洋的な美意識と日本的な美意識の融合が見られる。遠くから観る彼女の作品が生み出す世界観、つまり造形的なフォルムの美しさやエッジが生み出す力強さは、非常に西洋的と言える。しかしながら一つ一つの作品を間近で見るとき、それらはとても日本的に感じられる。左右対称を望む西洋の美意識に対し、彼女の作品は左右非対称であり、不規則な稜線から生まれる陰影の美しさはまさに幽玄である。鋳込みという技法で作られる自身の作品を彼女は、作為の塊だと語る。これもまた西洋的な美意識といえるが、その作為が頂点を極めたとき、どんな無作為の世界が待っているのだろうかと、使い手としては想像するだけでもワクワクさせられる。高橋奈己さんの作品を寺田美術の空間と移りゆく光という時間軸の中でご高覧いただけたら幸いです。

寺田ひと美

会期:2021年6月19日(土)~6月25日(金)
12時~18時 / 最終日は17:00まで
作家在廊日:19, 20, 24, 25日
※状況により入場制限を行う場合がございます。

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