陶芸家の大中和典さんは、粘土を用い造形した母体に、金属や木を思わせる質感の表面に傷や欠損といった経年変化を感じさせる仕上げを施し焼成された花器、茶道具、オブジェ等の作品を主に制作されています。その質感やフォルムを前にすると、時空を超えた存在感に圧倒されます。硝子作家の波多野裕子さんは、パート・ド・ヴェール寄りのキルンキャスティング技法で、グレーをベースとしたシンプルで凛とした作品を制作されています。今展では振出や蓋物を作っていただいています。また八代淳子さんの蓋を合わせた水指など、楽しいコラボ作品もご用意いただいております。「漆は樹液なので形の無いものなのですが、人間が手を添えると複雑な表情をみせてくれるところに魅力を感じます。古来から続く日本の風土の中で現代に生きる自分を意識しながら器を作っています。」と、語る八代淳子さんの作品は、伝統的な技法を用いながらも今の暮らしに優しく語りかけるような作品を制作されています。
異なる素材を用いた三者三様のシンプルでモダン、そして魅力的な作品たちを、ぜひ寺田美術にてご高覧いただけましたら幸いです。
寺田ひと美
会期
2024年8月24日(土)−8月29日(木)12:00−18:00
*最終日のみ17:00迄
作家在廊:24日