福岡県うきは市、耳納山地の中腹にある窯元「日月窯」で、精力的に作陶に取り組んでいる福村さん。彼の代表的な作品は、金属のような質感を持つ銀彩の半磁器です。艶のある滑らかな表情とクレーターのような凹凸が組み合わさった独創的な風合いは、材料の調合の数mgの違いで変化する釉薬を用いて、低温で何度も焼成を繰り返すという恐ろしく手のかかる作業を経て生み出されます。
福村さんのもう一本の柱は、お父上から引き継いだ登り窯で焼く灰かぶりの作品です。薪窯で起こる偶発的な変化に、コントロールが不可能だからこその魅力や可能性が感じられます。偶然の産物から得たインスピレーションが銀彩にも影響を及ぼし、さらなる彼の創作意欲を掻き立てています。
今展ではグラスやプレートなど銀彩の作品を中心に、登り窯で焼かれた灰かぶりの作品と合わせてご紹介させていただきます。用途があってもアートのような福村龍太さんの作品は、眺めるほどに味わい深く心に残ります。ぜひ寺田美術の光溢れる空間にて、ご高覧いただけましたら幸いです。

寺田ひと美

会期
2024年7月27日(土)−8月1日(木)12:00−18:00
*最終日のみ17:00迄
作家在廊:27日

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