四月の企画展は、伝統的な技法を踏まえながらも、これからの新しい時代に相応しい作品を 制作されている三人の作家をご紹介させていただきます。
田原崇雄さんは、東京藝術大学大学院彫刻専攻修了後、父十三代田原陶兵衛に師事。受賞歴多数。国内外の展示会を精力的に行っています。茶陶・萩焼の伝統と歴史に裏打ちされた確固たる技術に、柔軟でしなやかな発想力を持つ田原崇雄さんの作品は、新たな萩焼の魅力を私たちのもとへと届けてくれます。
吉村茉莉さんは、石川県金沢市に生まれ、石川県立九谷焼技術研修所本科卒業後、福島武山氏に師事。金沢卯辰山工芸工房修了。現在金沢市内に工房を構えて制作し、賞歴多数。 吉村さんは轆轤成形により素地を自作し、泡染の上に上絵付けを施すオリジナルの技法「朱 泡細描」を施します。緻密で繊細でありながらどこか柔らかで色香の漂うラインを描く吉村茉莉さん。その色彩は甘く私たちを包み込み、物体である作品は彼女の手により命を吹き込まれ、私たちの心に寄り添ってくれます。
東京藝術大学大学院修了、イタリア・ファエンツァ陶芸美術学校卒業後、2001年までイタリアで作陶された若林和恵さん。近年の活躍は目覚ましく、第10回《色絵銀漆陶筥「さやけし」》で菊池ビエンナーレ大賞を始め、受賞歴多数。 彼女のオリジナルの技法である色絵銀漆彩磁器は、磁器に上絵具や銀、漆を薄く塗り、焼成 するという工程を数回に分けて行います。深い苦しみや悩み、混沌とした暗闇を抜け出た後 の一筋の光を見た時の眩さ。若林さんの作品はただ華やかなだけではない、突き抜けた美し さで私たちを魅了します。今展では、このような素晴らしい三人の作家による「春の宇宙」を、 ぜひ会場にてご高覧いただけましたら幸いです。

寺田ひと美

会期
2025年4月19日(土)−4月24日(木)12:00−18:00
*最終日のみ17:00閉廊
作家在廊:田原19、20日/吉村19日/若林19、20、24日

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